- IPFSとはなにか
- IPFSはなぜ作られたのか
- IPFSの使われ方
- IPFSの仕組み
- IPFSの将来性

IPFSの概要
IPFSを一言でいうと、「情報を分散して管理するサービス」です。
HTTPと比較されますが、IPFSの最大の特徴は以下の3つです。
- IPFSは情報を細かく分けてIDをつける
- IPFSは情報を分散して管理する
- IPFSは仮想通貨FILを使う
HTTPとの情報の探し方の違いを例で示します。
HTTPは、欲しい情報(クルマ)を、住所で検索します。
その一方で、IPFSは情報(クルマ)に割り当てられたIDで探します。
このように、HTTPはそのロケーションで指定することで「ロケーション指向型」と呼ばれ、IPFSはその情報(コンテンツ)を指定することで「コンテンツ指向型」と呼ばれます。
なぜIPFSを使うのかと言うと、HTTPにはないメリットがIPFSにあるからです。
・不正を見抜きやすい
・処理速度の問題を解決する
・強制的なアクセス制限を回避できる
この記事ではIPFSの仕組みとそのメリット、そしてIPFSに使われる仮想通貨について解説していきます。
ちなみに、IPFSは「InterPlanetary File System(惑星間ファイルシステム)」の略です。
人が宇宙に行く時代になっても、「遠く離れた惑星と地球の間で普通にアプリケーションが使える世界を目指す」という意味がこめられています。
IPFSはなぜつくられたのか
これまでの世界では、Webページを閲覧するのにHTTPが当たり前に使われてきました。
ですが、IPFSはこのHTTPを置き換えようとする存在です。
HTTPを使っていても一見何も問題がなさそうなのに、なぜIPFSはHTTPを置き換えようとしているのでしょうか。
IPFSが解決しようとしていること
これまでのWebの仕組みでは、巨大なWebサーバーに情報が集中して管理されていました。
そしてこのWebサーバーに対して、データの住所のようなものを指定すると、その情報を取り出すことができる仕組みがHTTPです。
IPFSはこの仕組みにより生じる課題を解決しようとしています。
課題は主に4つあります。
・サーバー管理者への過度な依存
・サーバー管理者の不正
・処理速度の低下
・強制的なアクセス制限
一つずつ解説していきます。
サーバー管理者への過度な依存
もはや情報は今の世の中では一瞬でも途切れてはいけないインフラです。
もしも、この巨大なWebサーバーがダウンしてしまったらどうなるでしょうか。
データは他の場所にはないので、ほとんどの情報が取り出し不可能になってしまいます。
“情報を集中させていることによるリスク”がここにあります。
一つのサーバーがダウンしても、情報を分散して管理することで問題なく使用できるようになる
サーバー管理者の不正リスク
また、情報を一括管理していることにより、どうしても管理者による不正リスクが発生してしまいます。
一括で管理されているがために、情報が正しいのか確認することが困難になってしまうのです。
改ざんされるとIDが変わり、情報とIDの整合性がとれないことからすぐに不正を見抜ける
処理速度が低下するリスク
一般的にはスケーラビリティの問題と呼ばれます。
スケーラビリティとは、サーバーにアクセスが集中することによって処理速度が遅くなってしまう問題のことを指します。
巨大なサーバーで集中的に管理されている場合、スケーラビリティが問題になることがあります。
情報を分散して管理することで、アクセスを分散させることができる
強制的なアクセス制限
2017年4月に、トルコ政府の規制によってトルコ国内からWikipediaにアクセスすることができなくなる事件が発生しました。
原因は、トルコの裁判所がWikipediaの使用を禁止したためです。
【4月30日 AFP】トルコ政府は29日、オンライン百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」へのアクセスを完全に…
このようにHTTPの世界では、強いアクセス制限によってWebページへのアクセスが制限されるリスクがあるのです。
情報を細かく分け分散しているIPFSでは、アクセス制限を防ぎやすい
IPFSの仕組み
IPFSの特徴を3つのポイントで解説します。
IPFSは情報を細かくしてIDをつける
IPFSは、情報を小さな単位に分けます。
そしてその情報を検索するための”ID”を与えます(このIDをCIDと呼びますが覚えなくて大丈夫です)。
このIDを使えば、皆さんが情報を検索することができます。
IPFSは情報を分散して管理する
HTTPにしてもIPFSにしても、情報はストレージと呼ばれる場所に保存されていきます。
IPFSは情報を小さな単位に分けたあと、分散して管理します。
どこに分散しているのかと言うと、皆さんのPCやスマホの空いた容量に保存しています。
このように、分散して情報を保存する仕組みを「分散型データストレージ」と呼びます。
IPFSは仮想通貨FILを使う
ここでIPFSの仮想通貨であるFilecoin(FIL)の出番です。
データを分散して保存したいユーザーは、専用の仮想通貨であるFilecoin(FIL)を支払います。
IPFSを使いたいひとが増えれば、その仮想通貨であるFilecoin(FIL)を求めるひとも増え価値が高まります。
IPFSの使われ方
NFTのデータを保存する
ブロックチェーン技術をつかっているNFTの特徴の一つに、「情報を改ざんできない」という点があります。
ただし、NFTに使われる画像データなどは、実は改ざんすることができます。
この画像データ自体がブロックチェーン上にあるわけではなく、データを参照するURLのようなものがブロックチェーンにあるケースが多いからです。
そこで、IPFSを使います。
データが改ざんされると、IPFSで付与したIDが一致しなくなり、簡単に改ざんを見抜くことができます。
猿のイラストで世界的に有名な、Bored Ape Yacht Club(BAYC)のNFTはこのIPFSを使っていることで知られています。
引用:Bored Ape Yacht ClubのOpenseaサイト
NFTについて、もっと知りたい方はこちらもご参考に。
» まだ間に合う!NFTアートの始め方完全ロードマップを図解
IPFSの仮想通貨とはなにか
IPFSは情報を分散して管理し、世の中にある膨大な量の情報を、ユーザーの持つ空いたストレージを活用して保存していきます。
そして、ストレージを使わせてもらう際に支払われるのが、Filecoin(FIL)という仮想通貨です。
このストレージを「ファイル」と呼び、まさにファイルを扱うコインでFilecoinです。
IPFSの仮想通貨の将来性
IPFSの需要と仮想通貨
IPFSの仮想通貨であるFILの将来性は、ユーザーがどれだけIPFSを使うかにかかっています。
世の中では企業、個人を問わずAWSやGoogle Driveがインフラのように機能しています。
IPFSは、これらのサービスの特徴である中央管理から脱却し、分散して管理することで様々なメリットを提供しようとしています。
このメリットが伝われば、IPFSの仮想通貨への需要も高まっていくと考えられます。
IPFSの仮想通貨の評判
2020年、米国のナスダックは仮想通貨が世界のマーケットにおいて今後メジャーな金融資産になる可能性は十分あるとしています。
中でもIPFSの仮想通貨であるFILは、中でも特に将来性のある仮想通貨としてピックアップされました。
IPFSの仮想通貨を手に入れるには
IPFSの仮想通貨は、海外の仮想通貨取引所で手に入れることができます。
やり方は3ステップです。
- 仮想通貨取引所の口座を開設(無料)
- 仮想通貨取引所でビットコインを用意
- 海外の仮想通貨取引所に送りFILを手に入れる
まずは仮想通貨取引所の口座を用意して、ビットコインを用意しましょう。
さいごに
IPFSは皆さんが今当たり前に使っているHTTPを置き換えてしまうかも知れない仕組みです。
そして、そのIPFSで使われるのがFilecoin(FIL)と呼ばれる仮想通貨です。
もう一度、IPFSの要点をまとめます。
- IPFSは情報を細かく分けてIDをつける
- IPFSは情報を分散して管理する
- IPFSは仮想通貨FILを使う
IPFSが注目される理由は、HTTPが持つ課題を解決し、以下の4つのメリットを持つためです。
・不正を見抜きやすい
・処理速度の問題を解決する
・強制的なアクセス制限を回避できる