「薬剤師の転職情報は調べれば色々でてきますが、どれも企業の広告ばかり‥もっとリアルな声が聞きたい」
皆さんはこんな風に思っていませんか?
私は薬剤師の転職活動をしましたが、ネットで調べてもなかなかリアルな体験談を聞くことができず苦労しました。
皆さんはこれから薬剤師の転職や就職をひかえ、調剤薬局の薬剤師の仕事についてくわしく知りたいですか?
今日は実際に調剤薬局で勤務していた私自身の体験をもとに、調剤薬局に就職もしくは転職するメリットとデメリットをお話します。
私自身は、もともとMR(営業)を経験したあと、薬局の薬剤師に転職、そしてITベンチャー企業に転職しています。
これから薬剤師の転職や就職をされる皆さんに、少しでもヒントになればと思い、体験した私だからこそお伝えできる内容にしています。
調剤薬局の薬剤師に転職・就職するメリット
まずは薬局の薬剤師のメリットについて10個ご紹介します。正直に言うとここに書いたことがメリットに感じられるか、デメリットに感じられるかはその人の状況や好みにもよると思います。あくまでも「特徴」として捉えてもらうと読んでいただき易いかと思います。
薬局の薬剤師は業務が決まっている
街のクリニックに来る患者さんを思い浮かべてください。
内科であれば風邪や生活習慣病など、皮膚科なら皮膚に関連する病気など、大体似たような症状をお持ちの方が多いですよね。
実際に私が転職した薬局でも、常連の患者さんが多く、毎日似たような処方箋がほとんどでした。
一度業務の流れを覚えてしまえば、あとは多少応用はありますがそこまで覚えるのに苦労することはありませんでした。
その意味では、割と早く薬局の薬剤師の仕事に慣れることが出来ました。
ただ、大きな病院の門前薬局などでは、専門性の高い、多岐にわたる処方箋が多いみたいです。
薬局の薬剤師の給料は意外と高い
調剤薬局薬剤師の平均年収は、583.8万円だそうです。
これは病院の薬剤師よりは高く、ドラッグストアの薬剤師よりは低いくらいです。
ただし、ドラッグストアの薬剤師が休日や祝日も出勤日があることを考えると、薬局の薬剤師の給料も悪くはない気がしてきますよね。
ちなみに私の場合は、調剤未経験で時給¥2000からスタートし、1ヶ月後に¥2100にしてくれました。
世の中の一般的なパートの時給から比べると、かなり単価が高いので、パートで働くにはいいお小遣い稼ぎになると思います。
薬局の職場は通いやすい場所を選べる
これは職場の選び方次第ですが、皆さんも薬局に転職したり就職するなら、自宅から通いやすいところが良いですよね。
薬局の数は今やコンビニの店舗数を超えると言われており、それだけ薬剤師にとっては選択肢も増えていますし需要もあると言えます。
家から近くはなくても、大きな駅を通らなくて良かったり、混雑する電車に乗る必要がない通勤手段を選ぶことが出来るかも知れません。
薬局の薬剤師は転勤がない
近隣のエリアにしか店舗を構えていないグループ薬局や、個人経営の薬局では、引っ越しを伴う転勤はほぼありません。
ただし、そこそこ大きなチェーン展開をしている薬局では、基本的に全国転勤の可能性があると思った方がいいでしょう。
もし転勤したくないのであれば、転職を希望する薬局のグループ薬局の店舗を調べ、通える範囲内かどうか調べてみるといいでしょう。
子どもの学校や保育園のことも考えるワーママさんなら、転勤が無いと言うのはとても大事ですよね。
薬局の薬剤師は休日出勤がない
調剤薬局は、基本的に近隣のクリニックの休診日に合わせて休む事が多く、休日に出勤の予定が入ることはまずありません。
MRの頃は講演会で夜まで仕事があったり、学会で土日に出勤したり、ITベンチャー企業でもイベントなどで土日出勤する事があります。
ドラッグストアも土日祝日問わず休みなく開けているところが多いので、シフトによって土日出勤の可能性があります。
さらに、調剤薬局の中には、GWやお盆休み、年末年始などは、近くのクリニックに合わせてまとまった休みを設けているところもあるので、子供がいる方にはありがたいですよね。
薬局の薬剤師はお昼休憩が長い
薬局の薬剤師は忙しそうに見えるので、これは意外かも知れませんが、薬局によってはお昼休憩が2時間頂けるところも!!(お昼休みなく開けている薬局では、交代で休憩を取っています)
それぞれゆっくり外で昼食をとったり、お昼寝をしたりする余裕もあります。
家が近ければ、一回帰る時間もあるかも知れませんね。
薬局の薬剤師は転職しやすい
これも見落としがちなメリットですが、薬局に勤務した経験があれば、また薬局に転職するのは難しくありません。
私の職場でも、薬局から薬局へ転職してきた薬剤師さんはいらっしゃいましたが、転職には困らなかったそうです。
薬局ごとに細かい作業やルールは異なると思いますが、大きくは変わりません。
そう考えると、何かの事情で転職が必要になった時でも、薬局の薬剤師の経験は非常に便利ですね。
一度患者さんを覚えたらどんどんラクになる
薬局で薬剤師をしていると、来店する人がだいたい分かってきます。
近くのクリニックなどに通う患者さんが、そのまま薬局に来るからですね。
何度か顔を見ていれば大体覚えられてくるので、初めてのお客さんに対応し続けるよりは精神的には負担がありません。
小さなコミュニティですが、患者さんと仲良くなったり、色んな話が出来ることがメリットと考える方には薬局の薬剤師はオススメです。
薬局の薬剤師は夜勤がない
これは病院の薬剤師などと比べたメリットですが、薬局の薬剤師は夜勤はありません。
薬局の薬剤師は毎日店を閉じる時間は決まっていますが、一方で病院の薬剤師はローテーションで夜勤が入ることがあります。また、ドラッグストアは遅い時間まで開けているところが多いですよね。
夜勤が苦にならない方は良いのですが、私の場合には生活が不規則になると体調も崩しやすくなるので、夜勤がないことは薬局の薬剤師の大きなメリットでした。
薬局の薬剤師は福利厚生を使いやすい
薬局の薬剤師の職場は狭いコミュニティですので、ある程度こちらの生活のことも理解してくれるケースが多いようです。
実際に私の転職した職場でも薬剤師が産休に入っていました。
また私自身も、ある時は家庭の事情で勤務時間を短くしてもらったりと柔軟に対応していただくことが出来ました。
一度仕事や職場に慣れて、その薬局で薬剤師としてしっかり認めてもらえれば、このように福利厚生を使わせてもらうことは出来そうです。
薬剤師でも、結婚したことをきっかけに働きづらくなってしまう職場もあるそうなので、その点では薬局の薬剤師は非常に働きやすいと言えます。
調剤薬局の薬剤師に転職・就職するデメリット
もちろんメリットだけではなく、薬局に転職・就職することにはデメリットも存在します。こちらもしっかり知った上で、自分に合っているか判断していきましょう。
薬局の薬剤師は”立ちっぱなし”なことが多い
これは薬局の薬剤師をしていて、意外とキツかったことの一つです。
患者さんから見えてしまうような職場だと、例え奥にいてもあまり座れなかったりします。
もちろん受付でも座れなかったので、腰が痛かったり足が浮腫んだりは日常茶飯事でした。
もしかしたら座れる職場もあるかも知れないので、気になる方は事前に偵察してみると良いかも知れないですね。
薬局の薬剤師はいつも決まった人間関係
これはメリットの裏返しでもあるんですが、関わる人の人数は多くありません。
職場の人数も限られていますし、来る患者さんも同じ方がいらっしゃることが多いです。
「新しい人と働いてみたい」「色んな人と話してみたい」そんな風に考える方にとっては、薬局の薬剤師への転職や就職はあまり向いていないと言えるかも知れません。
薬局の薬剤師は転職や退職しづらい雰囲気
私の場合の例を話すと、ご夫婦で経営されているような小さな薬局で、特に奥様にはすごく良くしてもらいました。
毎日一緒に働いているので、お互いの仕事から家族のことまで色々話し、信頼してもらえていたと思っています。
そんな中で転職の話を持ち出すのは、事情があるにしても少し気が引けてしまいました。
小さなコミュニティで濃い関係になっていくからこそ、転職や退職を言い出すタイミングは難しくなるかも知れません。
薬局の薬剤師は融通が効かない
なかなか自由が効かないのもデメリットの一つです。
患者さんあっての仕事なので、こちらの都合で仕事を進めるのは難しいです。
例えばMRだと、今日頑張って明日は少し緩めにやろうなどと、自分でペースを作りやすかったです。
しかし薬局では、患者さんが来たら自分のペースなど言っていられません。
自分のペースで仕事を進めたいという気持ちが強い方には、患者さんに合わせて仕事を進めるのがストレスに感じるかもしれません。
薬局の薬剤師は患者と接するのが大変
患者さんは何かしらの症状があって受診をし、薬局に来ているので、辛そうな方や気分が優れない方、気持ちが昂っている方などもいらっしゃいます。
そんな中で、患者さんの様子を見て、少ない情報源から症状を読み取る洞察力、相手が何を求めているのかを見極め、必要な情報を伝えるコミュニケーション力、信頼して薬局にまた来てもらうための接客など、さまざまな力が求められます。
人と話すのはもちろん、色んな相手に応じた対応は難しいという方には、ハードルが高いかもしれません。
感染症のリスクがある
これは薬剤師をしていれば仕方ないことですが、やはりリスクはあると感じます。
パーテーションはあるものの、患者さんが触れたものを扱うことも多いため、接触を完全に防ぐことは難しいです。
実際にコロナが蔓延し始めた頃は、これを理由に退職したり転職した方もいたと聞いています。
医療関係者の方のおかげで医療が受けられるのでありがたいですが、今回のコロナに限らず、医療や調剤の現場では、他の仕事に比べてリスクがあることは間違いなさそうです。
リモートワークは出来ない
これは薬剤師では共通ですが、今のところ薬剤師でリモートワークをしているという話は聞いたことがありません。
コロナ禍で周りがリモートワークになった時も、薬剤師の私たちはリモートワークは出来ませんでした。
薬局であってもドラッグストアであっても、薬剤師に転職・就職するということはリモートワークが出来る可能性が低いのはデメリットの一つと言えます。
薬局の薬剤師は専門知識が発揮出来ない
やはり、近隣のクリニックから来る処方箋は似たような処方が多く、患者さんも常連さんが多いです。
そうすると、病院で扱うような専門性の高い処方箋に出会うことは少ないです。
私がいた薬局もそうですが、最近は在宅に力を入れている薬局も増えており、在宅患者さん向けの処方を一包化する作業は、ひたすら同じ作業の繰り返しなので根気が入ります。
せっかく大学で学んだ専門知識を活かしたいと思う方にとっては、物足りないと感じる事があるようです。
薬局の薬剤師は部署の異動がなくキャリアシフトが難しい
例えばドラッグストアの薬剤師であれば、調剤を経験した後に、人事や経理の部署などに異動するチャンスもあります。
一方で薬局の薬剤師には、調剤以外の業務はあまりなく、キャリアシフトという点では難しいと言えます。
他業種への転職はしにくい
薬局から薬局への転職は比較的ハードルが低い一方で、他業種への転職となると話は変わってきます。
これは薬局の薬剤師という仕事が、これまでお話してきたように「限定的な領域」での職種であるためです。
ここまでお話してきたメリットもデメリットも、この要素からくるものが多いです。
私自身は薬剤師から他の職種に転職しており、この点は痛感しています。
ただし、私が出来たように、完全に不可能という訳ではありません。
やり方と準備をしっかりすれば、規模も業種も全く異なる仕事への転職も可能です。
詳しくはこちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
薬剤師のコロナ後の転職活動で知っておくべき7つのこと | ワーママの体験談
さいごに
いかがでしたでしょうか。
ここまで、薬局で働く薬剤師のメリットとデメリットを思いつく限りあげてきました。
それは皆さんにとって、少しでも転職や就職におけるギャップを無くして欲しいと思っているからです。
転職も就職も人生の一大イベントです。
慎重に情報を集めて、出来れば体験してから決めたいくらいですが、なかなかリアルな情報は手に入りません。
そこで私は、薬剤師以外から薬剤師へ転職、そしてまた薬剤師以外の仕事へ転職という自分の経験をもとに、皆さんに生の体験談をお伝えしています。
よろしければこちらも参考にしてください。
【後悔する前に】薬剤師が薬剤師以外の仕事に転職する前に知って欲しいこと | 30代ワーママの体験
皆さんの転職や就職活動が実りあるものになりますように。
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